Explanatory Website about Exostoses of External Ear Canal

 
updated 2018-12-12

 

 

 

保存的治療

 外耳道の狭窄が軽度 ( Grade 1程度 ) で、無症状であれば、基本的に手術適応はありません。軽度のサーファーズイヤーで、マリンスポーツ後に外耳道炎による痛みが生じるような場合は、耳栓の使用や、点耳薬などの保存的治療で対応できることが多いと考えます。
 
 
 

手術適応について

 サーフィンやマリンスポーツを止めたとしても、一度形成されたサーファーズイヤーは小さくならないと考えられています。サーファーズイヤーが大きくなり、何らかの症状を呈するようになった場合、取り除くためには手術が必要になります。外耳道の狭窄が軽度で、無症状であれば手術適応はありません。明確な手術の適応基準というものは存在しませんが、当院ではGrade 2以上の狭窄で、外耳道炎の反復、堆積した耳垢により耳閉鎖感が遷延するなどの症状を伴う場合には、手術を検討しています。鼓膜が確認できないほどの高度狭窄になると、手術操作が複雑になり、術後の外耳道上皮化に要する期間も延長しがちなので、将来的にサーフィンを継続することが確実であったり、進行予防のための耳栓使用ができない理由があれば、狭窄が比較的軽度なうちに手術を考慮する例もあります。当 でも、必要に応じ、手術治療を行っており、ここ数年手術数は増加傾向にあります。術後、早めにサーフィンに復帰できるよう、なるべく短い治療期間ですむように配慮しています。
 
 
Figure 10 に Grade 3症例の外耳道所見と 側頭骨CTの画像を示します。
 外耳道所見では、左耳のGrade 2〜3相当のサーファーズイヤーの症例。Figure 10の右側の2つの白黒の画像がこの症例の側頭骨CTです。外耳道に青矢印で示される白い隆起がサーファーズイヤーの骨隆起です。この画像所見から、外耳道が上下方向、前後方向のいずれからも狭くなっていることがわかります。手術は、青矢印で示される骨隆起を削除する操作になります。
 

手術方法について

 サーファーズイヤーに対する手術の方法は、症例により外耳道の骨病変の形状がさまざまであることから、切開の方法や、使用する手術器械などケースバイケースの対応が必要になります。
 サーファーズイヤーの病変が存在する外耳道にアプローチする切開法には、大きく分けて、耳後切開(みみたぶの付け根後方を切開する)と耳内切開(耳の穴の中からの切開)があります。過去には、サーファーズイヤーの治療に対しては耳後切開による手術が視野を得やすいとの報告がいくつかありますが、耳内切開による手術も可能です。耳内切開法の利点は、耳の穴の中に小さい傷ができるだけなので、より身体への負担の少ない手術であることや、術後に耳介の違和感が少ないことなどが挙げられます。当 では、両側手術の際にも負担の少ない耳内切開によるアプローチを用いることが多くなっています。ただし耳内切開での手術の場合は、狭い外耳道からの操作になるので、手技上の制約を十分に検討した上で対応すべきと考えています。  
 古くからサーフィン文化が根付き、海水温が年中低いことからサーファーズイヤーの治療を必要とする患者さんも多い北カリフォルニアでは、耳内切開の手術が主流になっています。
 骨を削除するやり方にもいくつかの種類があります。ドリルを用いる方法や、ノミとハンマーを用いる方法、その他、近年の手術支援機器の進歩により、骨削除が可能な超音波装置なども開発されてきています。
 北カリフォリニアで非常に豊富なサーファーズイヤー手術経験がある先生は、ドリルの使用による強大音が原因で、感音難聴(聞こえの神経の力が弱くなること)が起こるという報告があるため、なるべくドリルの使用を控え、手術操作時の騒音による内耳への影響の少ないノミを使用してサーファーズイヤーの骨病変を除去するやり方を推奨されています。当院での手術も同様の理由から、なるべくドリルではなくノミを用いてサーファーズイヤーの骨病変を除去し、耳が強大音にさらされることの少ない手術になるように配慮しています。
 
 サーファーズイヤーに対する短期滞在型手術
サーファーズイヤーの手術はノミ、ドリルを用いた骨削除操作を伴うため、基本的に全身麻酔下が好ましいと考えています。軽度のサーファーズイヤーであれば、局所麻酔の手術も可能ですが、軽度のサーファーズイヤーは、患者さんがよほどお困りになる症状を伴わない限りは、手術適応ではありません。
 全身麻酔のための術前検査や、画像診断の検査が入院前にすべて済んでいるケースであれば、最短で1泊入院で対応しています。一泊入院の場合には、入院日の午後に全身麻酔で手術を行い、手術翌日に退院するスケジュールとなります。
 遠方からお越しいただく方の場合には、術前検査や術後の経過観察を含め、3~5日程度の入院で対応しています。ただし、遠方からお越ししただく方の場合には、あらかじめ、術後にフォローをお願い出来る近隣の耳鼻咽喉科クリニックあるいは病院の先生と、十分にご相談をさせていただいてから手術予約をすることにしています。
 サーファーズイヤーの術後に、まれにめまいを訴えることがあります。このようなめまいは自然軽快することがほとんどですが、術後にめまいなど、なんらかの症状が出た場合には、入院で経過を観察することもありますので、手術の日程は、時間的余裕をもって考えて頂くようにお願いしています。
 外耳道皮膚の温存に努めて、骨部外耳道の骨面露出を最低限に留めれば、通常、遊離植皮などは必要ありません。これまでの治療経験では術後2〜4週程度で上皮化が完了しています。術後は、炎症性の再狭窄を避けるため、上皮化完了まではなるべくマリンスポーツを控えていただきます。プロサーファーの方やマリンスポーツに関わる職業の方で、なるべく早い時期にサーフィン再開を希望されるようなケースにも、できる限り対応しています。サーファーズイヤーの程度が左右で大きく異なる場合には、治療期間にも左右差が生じることがあります。ご不明なことがありましたら、お問い合わせフォームよりご相談ください。
 
 Figure 11に手術前後の所見を示します。
 本症例では、サーフィン後の外耳道炎の反復と耳痛があり手術を行ないました。短期間の入院で、両側とも耳内切開法のアプローチを用いた症例です。術前は両側ともに鼓膜が一部しか見えていませんが、術後は鼓膜の大部分とツチ骨の短突起(白矢印)が見えるようになっています。

 Figure11-2から11-8 は手術開始時(上段)と手術終了時(下段)の写真です。全ての症例で外耳道皮膚は切開した部分以外ほぼ温存され、なおかつ外耳道の深部にある骨隆起まで除去しています。皮膚欠損が極力生じないように努めると、術後2〜3週間くらいで切開部も治癒しサーフィン再開可能になります。初回の手術時にしっかりと骨病変を取り除かないと、将来、再発した場合に手術の処置が難しい形態になることがあります。
 
 

 
 

 
 

 
 

 
 
 Figure 12に サーファーズイヤーの多様性について示します。
 Figure12の上段は比較的軽度のサーファーズイヤー4症例。大きな骨隆起は一つ、あるいは二つできるものから、3つ以上できるものもあります。骨隆起もできる位置については、外耳道の上方に初発することが多いものの、症例によりかなりバリエーションがあります。
 下段は高度に進行したサーファーズイヤー3症例。
 

 
 

起こりうる合併症について

 
 サーファーズイヤーの手術で起こりうる合併症には

  • ドリルの強大音に起因する感音難聴
  • 熱変性による顔面神経麻痺鼓膜穿孔
  • 顎関節嚢損傷
  • 耳小骨離断
  • めまい
  • 術後感染による炎症性の外耳道狭窄
  • 上皮化の遷延などがあります。
 
 
 上記の合併症は、過去のサーファーズイヤーに関する手術の報告例や、手術操作で扱う解剖学的部位から挙げさせていただきました。実際にはそれぞれの合併症の頻度はとても低いものです。顔面神経は外耳道の後下象限で鼓膜輪に近接して走行するので、同部位を操作するときに損傷の可能性が高いとされます。サーフィンの歴史が長く、海水温の低いカリフォルニア州やオーストラリアでは、サーファーズイヤーの術後再発例も多く、複数回の手術例も珍しくないといわれます。サーファーズイヤー形成が一度惹起されるとサーフィンをやめたとしても外耳道の再狭窄が進行するとの報告があります。
 
 
 

当院での治療について

 Figure 13に、このページの管理人の耳をお示しします。管理人自身も長年サーフィンを継続しており、両耳ともにGrade 1のサーファーズイヤー(白矢印)の状態です。特に症状はなく、冬場は耳栓をしてサーフィンをしています。
 離島在住のサーファーの方であったり、近隣にサーファーズイヤーの手術をしている施設がないなどの理由で、ご相談をお寄せいただくことが近年増加しています。
 治療、手術についてのご相談にもできる限り対応したいと考えています。ご質問、ご不明な点がありましたら、 お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
 

サーファーズイヤーに対する短期入院の治療プラン

  ① 外来受診:中西が外来担当になっている日に受診してください。
 
 
サーファーズイヤーの程度について評価し、まずは保存的治療(手術以外の治療です。)を行います。手術が必要と判断された場合、手術日程、術前検査日を決めます。聴力検査、側頭骨CT、外耳道〜鼓膜の写真撮影などの予定を組みます。 
 
中西 外来予定
    火曜日 午前 (9:00~12:30)
    水曜日 午前   (9:00~12:30)
        午後 (16:00~19:00)
    金曜日 午後    (16:00~19:00)
第1.3.4   土曜日   午前    (9:00~12:30)
第2 土曜日は中西不在です。 


参考:
関空から和泉府中駅 JR関西空港線 時刻表へのリンク
https://www.navitime.co.jp/diagram/depArrTimeList?departure=00001353&arrival=00009118&line=00000047&updown=0
 
  
 


 


② 術前検査: 日程は随時調整します。
 
提携内科クリニックで 採血、尿検査、心電図、胸部レントゲン写真を行います。老木医院にて呼吸機能検査を行います。術前検査の結果は手術までに担当麻酔科医が確認します。
 


③ 手術日:月曜日(午前、午後)、火曜日(午後) 

 
朝9時、 老木医院へ入院。 
 
点滴や着替えなど手術準備をします。
手術は全身麻酔で行います。
手術が終わって病室に戻った後は、通常、お手洗いは自分で移動できます。手術の前後は点滴を行います。
手術当日は基本的に朝から絶食。手術翌日の朝からは、通常のお食事を再開できます。
 


④ 水曜日〜金曜日: 退院
 
手術直後は耳の中に止血のためのガーゼを入れます。術後1〜2日で抜き去ります。片方だけの耳の手術の方は手術翌日の退院が可能です。(1泊2日入院)
3泊4日の日程で行う場合、通常、退院までには耳内のガーゼは除去し、傷をカバーする薄い材料のみにするため、正常な聞こえでお帰りいただけます。


Post Surgery
rider:Masahiro
photo: Iragoday

⑤ 術後1週間以内に再診 あるいは協力医療機関の受診をしていただいます。

 
通常、3週間前後で耳の中の傷が治癒します。サーフィン、マリンスポーツの再開は、耳の状態を確認してからにしていただきます。
 


 

手術対象となるのは、サーファーズイヤーで何らかの症状があり、手術が必要な程、高度な骨病変に至っている方です。
遠方のサーファーの治療については、お住まいになっている地域の耳鼻咽喉科クリニックや病院のドクターと連携して、手術前後の状態評価とフォローアップ体制を確立してから手術を行っています。遠方の方の場合、お近くの病院で術前検査を行っていただくことがあります。
 
術後のきこえの程度
外耳道にガーゼなどの詰め物をせずに手術を終えられるケースもあるので、その場合には手術直後からきこえは正常です。術後に外耳道の皮膚の腫れが強くでる方の場合には、1W程度ガーゼの詰め物をする場合があります。両側の手術を行う場合には、術直後も少なくとも片方のきこえが実用レベルに維持できるように工夫しています。
 
手術後の痛み
ほとんど訴えられる方がいらっしゃいません。術後の耳処置の際に、外耳道の皮膚を触ると痛みを訴えられる場合がありますが、痛くないように配慮した処置を行います。
ご不明な点はお問い合わせください。
 


 

〒594-0061
耳鼻咽喉科サージクリニック 老木医院
大阪府和泉市弥生町2-14-13
Tel. 0725-47-3113
中西 悠
E-Mail : nakanishi@ear-nose.net